黒人DJミュージシャンとフランスのオーケストラ楽団が、
世界遺産「ポン・デュ・ガール(南フランスにある水道橋)で
夜の野外コンサートを開催、というとんでもない内容のDVDです。
発売は06年、以前からプロモ映像などは観ていたものの、
計80分に及ぶフル演奏を観たのは今回が初めて。
クラブミュージックを聞きかじった人なら誰でも知っている
元UR(Underground Resistance)のJeff Mills。メイキング映像に
よると、「以前から自分の楽曲をオーケストラでやってみたかった」
とのこと。
フランス、モンペリエ国立管弦楽団がオファーに応えてくれたのと、
世界遺産「ポン・デュ・ガール」の認定20周年記念企画として面白い、
ということで実現したらしいです。
(楽団員の中にはテクノ好きな人もいたらしく、それが企画の実現に一役
買ったとか。楽長さんも「他の楽団ならストを起こすかもしれない企画
だからね」と語ってました)
楽譜はJeffが書き、それをフランスの編曲家とオーケストラ仕様に
作りあげていったらしいです。
凄いのは、楽団とJeffが実際に顔を合わせたのが、本番四日前ということ。
Jeffは十数年ぶりのライブ(UR解散後はずっとDJ活動だったらしいです)
らしく、ドラムマシーンのTR-909等を使ってリズム(打楽器?w)担当。
考えてみたら、リズム中心のクラブミュージックと、シンフォニー中心の
オーケストラが競演する、ってことでも無謀に感じるわけですが、そういう
実験的なことを平気でやってしまうのがJeffの行動力の凄さというか。
で、80分通して聴いた感想は「やっぱりオケの人たちのリズム感がイマイチ」
ということと「それでも909(ドラムマシン)が鳴り始めると、オーケストラコンサート
なのに客が歓声を上げて踊り始める、という凄い光景に感動した」という
ところです。
そりゃ、テクノみたいな同じフレーズを繰り返し鳴らすことでグルーヴを
生み出すジャンルの曲を、人力でやっているわけだから(スティーブ・ライヒは
ともかくとして)、オケの人たちが慣れない演奏に苦労するのも当然だろうなあと。
加えてJeffの方も、オケにピッチを合わせるだけで精一杯で、アドリブをほとんど
入れられなかった、と語ってました。
かといってこの「無謀」な企画がダメダメだったかといえばそんなことはなく、
むしろ「10年20年経って、音楽史の中で一つの伝説」になるんじゃないかな、
と思わせるぐらいの新しさがありました(原点回帰とも言えるかも)。
こういう実験的なコラボレートがもっと頻繁に行われれば、音楽はもっと
面白くなるんだろうな、と思うわけです。